💻 NASトラブル体験記:フリーズと青色LED点滅からの復旧【DS718+】
この記事では、Synology NAS DS718+が突然起動不能になり、青色LEDが点滅し続けるというトラブルに直面した際の原因と復旧手順を詳しく解説します。
特に「増設メモリスロットの故障」という盲点が原因だった事例は、同じ症状で悩む方にとって参考になるはずです。

この度、Synology NAS (DiskStation DS718+) の起動不能、ネットワーク切断という深刻なトラブルに直面しました。
サポートの助けを借りながら解決した道のりを、同じ症状でお困りの方のために記録します。
🚨 発生した症状と初期の混乱
ある日、NASの接続不良を解消するため再起動を試みたところ、以下の異常が発生しました。
- 異常なIPアドレス: NASがルーターからIPアドレスを取得できず、
255.255.255.255や169.254.x.xという無効なアドレスを自ら設定し、ネットワークから孤立。 - 物理的な無反応: 最終的に再起動を試みた後、電源ボタンの青色LEDが点滅したまま20分以上経過し、STATUSランプは無点灯。リセットボタンや電源ボタンの長押し(強制シャットダウン)にもビープ音が鳴らず一切反応しない状態に陥りました。
【起動不能時のチェックポイント】
- 青色LEDが点滅し続ける
- STATUSランプが無点灯
- IPアドレスが169.254.x.xや255.255.255.255になる
- リセットボタンに反応しない
- Synology Assistant(公式のソフトウェア)でNASが見つからない
この症状は、NASのハードウェアまたはOS (DSM) が起動処理の途中で完全にフリーズしていることを示しています。
このまま内部が壊れている状態が確定してしまうと修理か買い替えを覚悟していました。
🔍 トラブルの原因特定:盲点だった「増設メモリ」
自力での解決が不可能と判断し、Synologyサポートに連絡したところ、意外な指示がありました。
💡 サポートからの指示と判明した真の原因
サポートから「増設メモリモジュールを外しても同じ症状が出るか確認してほしい」と指示を受け、NASのメモリモジュール(8GB)を1枚外したところ、青色LEDの点滅が止まり、STATUSランプが緑色に点灯し、NASが正常に起動しました。
(NAS本体をバラすのはPC方面に明るい長男にお願いしました!助かりました)
- 原因はメモリスロット: メモリ自体は正常でしたが、NAS本体の増設メモリスロット自体に物理的な破損(ヒビなど)があり、接触不良やショートを引き起こし、起動プロセスをフリーズさせていたことが判明しました。
メモリの増設は自己責任ですが、サードパーティ製メモリだけでなく、スロット側のハードウェア故障もフリーズの原因になり得ます。
🛠️ ネットワーク接続の復旧手順(アクセス不能時の対処)
NASは起動したものの、ネットワーク設定が混乱していたため、DSMにアクセスできない状態が続きました。
1. ログイン不能の壁を破る(モード1リセットの実行)
NASが 169.254.x.x のアドレスのままだと、二要素認証のためのメール送信などができませんでした。
- 実行したこと: 背面のリセットボタンを 4秒間長押し(モード1リセット) し、ネットワーク設定と管理者パスワードを強制的にリセットしました。
- 結果: これにより、DSMにパスワードなしでログインできるようになり、設定画面へのアクセス権を確保しました。
2. IPアドレスの強制切り替えが招いた新たな問題 (重要)
| 操作内容 | 結果と問題点 | 教訓 |
| 一時的な固定IP設定 | DSM内でIP設定をDHCPから 192.168.1.200 という一時的な固定IPに手動で切り替えを試みた。 | NASがこの固定IPにロックされ、PC側からのアクセスが遮断される状態に陥った。 さらにパスワードも拒否されるなど、システムがさらに不安定化した。 |
3. アクセス不能状態からの最終的な復旧
固定IPにロックされ、アクセス不能な状態から復旧するため、物理的な切り分けを実行しました。
- 最終リセットとPC設定の復元: 再度モード1リセットを実行し、同時にPCのネットワーク設定を元の「自動取得」に戻しました。
- DSM内での設定: DSMにログインし、ネットワーク設定を「DHCPにより自動取得」に設定し直しました。
- 物理的な対処: 設定が反映されないため、LANケーブルをNAS本体の別のポート(LAN 1 ↔ LAN 2)に差し替え、その後ルーターを再起動しました。
最終的な復旧: LANポートの切り替えとルーターの再起動により、NASがルーターから正常な 192.168.0.x のIPアドレスを取得し、アクセス不能の問題が解消されました。
✅ 復旧後の重要対応
- 故障したメモリスロットは使用禁止: 今後、メモリモジュールを差し込まず、メモリ交換が必要な場合は修理を検討します。
- データスクラビングの実行: 復旧後、NASが自動的に「データスクラビング」(データ保全のための整合性チェック)を開始しました。これはシステムが安定したことを示しており、完了まで中断せず続行させることが重要です。
- 省電力設定の確認: 今回の原因となる可能性が指摘されたため、HDDの休止モード(省電力設定)を一時的に無効にし、システムの安定を優先しました。
まとめ
このトラブルは、NASユーザーが直面する可能性のある複雑な複合的な問題でした。メモリの抜き差しという簡単な作業が、最も困難なフリーズの原因を特定する鍵となりました。
RAM16GB→8GBとダウングレードはしましたが、今のところNASは前回同様に快調です。
同じ症状でお困りの方は、慌てずにサポートに連絡し、まずは増設部品を外して最小構成で起動することをお試しください。
